私たちの光、ハルカミライは今後も走り続ける。
「ハルカミライの時間がやってくるぞ!」そんな胸の高鳴りが、会場に溢れる人の多さで感じることができる21:00すぎ。いつものように、関大地(Gt&Cho)と須藤俊(Ba&Cho)、小松謙太(Dr&Cho)の3人がまずは入場。いつものスタイルだ。「1分くらいはリハできるのかな?」と言い、「ファイト!」をかまし、リハーサルから絶好調であることがよくわかる。そうこうしているうちに橋本学(Vo)がニコニコしながら現れ、1曲目「君にしか」が始まると、お客さんは一同両拳を天に突き上げる。
ボロフェスタのウルトラマンの櫓の上や隣のステージで演奏したり、と縦横無尽に空間を使い尽くす勢いだ。KBSホールがどこかのアリーナになったのではないか!? と錯覚するほどの流石のライヴ・パフォーマンス。ライヴでの彼らをまだ観たことないという人には、「絶対にライヴを観てほしい!」と魂を込めてお薦めできる。ハルカミライはそんなバンドだ。なんて言ったって、彼らは生きている音楽を鳴らすのだ。昨年のボロフェスタから何倍にもパワー・アップした彼らが、目の前で演奏している様子には涙が出そうになる。
ボロフェスタ2022も折り返しとなった3日目、ハルカミライはORANGE SIDE STAGEのトリを任されている。「1発目から元気を出してもらおうということで、俺たちは朝が出番のフェスが多い。でも今回はトリ。流石ですねボロフェスタ、わかってるね!」と橋本が言うように、フェスの最後に圧倒的な爆発力で締めくくるのも、最高にふさわしいのではないかと思うのだ。「クライマックスのハルカミライがよくないわけねえよなあ!?」と煽り叫ぶ橋本に、フロアからは歓声と拳が上がり続ける。「カントリーロード」に「ファイト!」と続け、加速が止まることはない。「俺達が呼んでいる」でもメンバー全員がシンガロングし、橋本は櫓でウルトラマンのポーズをとりながら歌い、いつの間にか橋本と同様に上裸になっていた小松も立ち上がりながら叫んでいる。本当に彼ら自身がいまというライヴの時間を大切にし楽しみ尽くしていることがよくわかる。
また、お客さんもコロナ前のライヴを彷彿とさせるような熱量と勢いだったからか、ライヴ中は20名近いスタッフが最前列で柵を支える。ボロフェスタでも久々に見ることとなった光景に、「ああ音楽シーンが戻ってきているなあ」と目頭が熱くなる。しかしそんな中でも、一生懸命に柵を支えるスタッフも実は拳をあげながら盛り上がっていることに触れ、きっと音楽が大好きなんだろうと気遣い、「みんなで楽しむためにもう少し下がろう!」とライヴ中に何度も呼びかける橋本。イカつめなルックスと、細やかな気遣いを忘れない心。そのギャップもハルカミライの魅力だ。
アカペラで入った「世界を終わらせて」や自然にイントロ・インした「僕らは街を光らせた」の繋ぎ方、自己紹介がてらに! と演奏した「QUATTRO YOUTH」。「アストロビスタ」では歌詞を変えたりと、ライヴハウスを中心に毎年数々の本数を経験してきているだけある洗練具合だ。「てか俺ら巻きすぎじゃね? 一旦やっとく?」と今日もその場の勢いで予定外の曲を詰め込む。「このままアンコールの分までやる! 今がアンコールです!」と叫び、アンコールに選ばれた楽曲は「ヨーロービル、朝」だ。ここまでのアップテンポな雰囲気とは異なり、橋本の伸びやかな歌声が映える中、KBSホールのステンドグラスが本日初めて顔を見せる。
「ハルカミライを好きなやつに悪いやつはいねえ! この先もそう思えるように俺たち頑張ります!」と力強く宣言した彼らの言葉を信じる以外ないだろう。彼らのライヴを見るたびに、「気持ちが爆音にのっているとこんなにもダイレクトに心に伝わってくるのか」と思わされる。ハルカミライはまさに私たちの光だ。彼らのライヴに涙を流す人が今日も沢山いた。彼らがバンドを続ける限り、ひとりひとりの胸に響く音楽をきっとこれからも届けてくれるはずだ。ボロフェスタ2022の3日目は、大声援といつまでも鳴りやまぬ拍手で幕を閉じた。