FIFTHNEWHEAVYが体現する飽くなき “衝動” に激震必至のステージ
「メシアと人人」からバトンを引き継ぎ、ORANGEステージに登場したのは、英国より日本に逆輸入されたアグレッシブ・インダストリアル・バンド「FIFTHNEWHEAVY」だ。昨年7月に、自主インディペンデントレーベル「斜輪/Sharing From The Basements」を立ち上げ、コロナ禍でも止まることなく活動し続ける関西オルタナシーンの中枢バンドである。
地元大阪の彼らは獰猛な轟音をワイルドに打ち鳴らし、「IVAR」で容赦なくスタート。一音で会場にいた誰もがこの日1番 “やばい” ステージになるだろうと確信したはずだ。
また、ORANGEステージの背後に投影されたマインド強めな映像では、あらゆるものを越境していく生物や、いく重にも輪を描いて広がる白黒の波紋、全てを見ている人間の目の数々などが描かれ、彼らがバンドで表現する世界観を映像で表現しているように感じた。アブストラクトに近いアートゆえに感想は十人十色だろうが、筆者としては「自然のワイルドさ」をテーマに感じ取り、彼らの音楽を聴いた時の “衝動” とマッチしていて、ライヴがより刺激的に感じられた。
KZM(Ba)が弾く重心の低いリズムから「SLAVES」へ。重厚な音色はこの30分で全てを変えてしまうのではないかと思わせるほど凄絶でドープだ。ヘヴィな音にぶん殴られたような衝撃、極限の音圧の爆音、魂剥き出しのパフォーマンス、まるでKBSホールごとぶっ飛ばすようなアグレッシブさ、細胞レベルで全てがぶち上がる。
MCでは「京都は日本の宝や」と京都愛を垣間見せ、「ZOEY」へ。ヘヴィでドラスティック、そしてどこまでもドープなこの曲を天才的に尚且つエモーショナルにプレイし、観る者の感情を抗い難く突き動かした。
凄まじい光景が脳裏に焼き付いて離れない。バンドとしてのスケールの大きさをまざまざと見たライヴだった。
また、ライヴ後の44S(Vo,Gu)のツイートによると、彼らのLive House nanoでのライヴをそのままKBSホールに持っていきたくて、VJを仕込んだそうだ。つまり、彼らがnanoでライヴをする時には、この日のような特別な体験ができるかもしれない。「FIFTHNEWHEAVY×nano」が実現するXデーを心待ちにしたい。