空音

ボロフェスタ2021
ボロフェスタ2021

爽やかでいて力強い、空音にしかできない音楽をみた。

ボロフェスタ2日目、ORANGE SIDE STAGEでトリを務めたのは、HIPHOPアーティスト、空音(そらね)だ。観客は若い層が多く、制服姿の高校生も見られた。
真っ暗なステージから空音が出てきたかと思うと、観客は手をあげて歓迎。1曲目は“Fight me feat.yonkey”だ。

彼の最大の魅力は彼の音楽に対する誠実な姿勢と、それを表すようにまっすぐで力強いリリックだろう。ラップなので当然早口ではあるが、自然と言葉のひとつひとつが身体に染み込んでくる。「敵はいつも 鏡に映る自分だけ」。ストイックな歌詞だが、空音はポップで自然に歌い上げる。

「見せてくれ京都!」と空音が観客に呼び掛けると観客も全力で応える。身体を揺らしたり踊ったりしている人、手を降ったり拳を突き上げる人。さまざまな姿でHIPHOPを楽しむ観客の姿を見ることができた。

5曲目“Young”という楽曲には、若いからこその鬱憤や不安が爽やかに、それでいて濃密にリリックに込められていた。彼が若年層に絶大な人気を誇る理由がよくわかるステージになっていた。MCでは残りの3曲で空音という人間を知ってほしいと語った。
彼が語った通り、彼の歌からは彼がどんな気持ちで生きているのかという正直な部分や、世代としてのしがらみや苦しさの部分、そしてそれに立ち向かう強さの部分と、彼の人間性を感じることができる。その姿に胸を打たれ、励まされた人間がここに足を運んでいるし、今まさにその虜になった人間は私を含め多くいるだろうと感じた。

空音は12月初頭に配信EPのリリースを告知したばかりだ。彼の音楽は今後も間違いなく加速し私たちの希望になるだろう。彼の今後の活躍に目が離せない。

Text by ヒワタシサキ
Photo by shohnophoto